Tuesday, March 9, 2010


「道」 


自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。 
どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない自分だけしか歩めない、 
二度と歩めないかけがえのない道。 

広いときもある、せまいときもある。のぼりもあればくだりもある。 
坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。 

この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もある。 
なぐさめを求めたくなる時もある。 

しかし所詮はこの道しかない。 
あきらめろというのではない。 

いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、 
ともかくこの道を休まず歩むことである。 

自分だけしか歩めない大事な道。 
自分だけに与えられているかけがえのないこの道。 
他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、 
道は少しもひらけない。 

道をひらくためには、まず、歩まねばならぬ。 
心を定め、懸命に歩まねばならぬ。 

それがたとえ、遠い道のように思えても、 
休まず、歩む姿からは、必ず新たな道がひらけてくる。 

深い喜びも生まれてくる。 




by 松下幸之助 

日本の実業家。 
パナソニック(旧社名:松下電器産業、松下電器製作所、松下電気器具製作所)を一代で築き上げた日本屈指の経営者で、経営の神様とも、関係者からは社主とも称された。




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