「道」
自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。
どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない自分だけしか歩めない、
二度と歩めないかけがえのない道。
広いときもある、せまいときもある。のぼりもあればくだりもある。
坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。
この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もある。
なぐさめを求めたくなる時もある。
しかし所詮はこの道しかない。
あきらめろというのではない。
いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、
ともかくこの道を休まず歩むことである。
自分だけしか歩めない大事な道。
自分だけに与えられているかけがえのないこの道。
他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、
道は少しもひらけない。
道をひらくためには、まず、歩まねばならぬ。
心を定め、懸命に歩まねばならぬ。
それがたとえ、遠い道のように思えても、
休まず、歩む姿からは、必ず新たな道がひらけてくる。
深い喜びも生まれてくる。
by 松下幸之助
日本の実業家。
パナソニック(旧社名:松下電器産業、松下電器製作所、松下電気器具製作所)を一代で築き上げた日本屈指の経営者で、経営の神様とも、関係者からは社主とも称された。
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